
大人の矯正
永久歯がすべて生えそろい、顎の成長もほぼ終了する12歳以降に行う治療です。個々の歯を動かして正しい咬み合わせと歯並びをつくります。全体の治療を行う場合、治療期間は約1年から3年で、1~2か月に1回の来院になります。
目標とする咬合
- 歯のがたがたやすき間がない
- 上下の歯の正中が顔面の正中と一致している
- 上下の歯がそれぞれ「山」と「谷」とでかみ合っている
- 上の歯は適度に下の歯の外側にかぶさっている
- 調和のとれた口元と横顔である
- 自然なスマイルである
- 顎関節が正常に機能している
鼻とあごの先端を結んだ直線を、エステティックライン(E-ライン)といい、日本人では上唇と下唇の先端とE-ラインはほぼ一致するか、上下の唇がやや前方にあるのが理想的とされています。
顎関節とその周囲の軟組織はかみ合わせに密接に関与しています。顎のずれや顎関節症がある場合、その原因を取り除き、顎関節に負担がかからないかみ合わせをつくる必要があります。
歯並びのタイプと治療例

叢生(がたがた)
歯が重なり合って生えている状態です。歯の幅が大きい、あるいは顎が小さい場合に、歯が生えるためのスペースが不足して起こります。乳歯のむし歯や早期脱落がスペース不足の原因となることもあります。

上顎前突(上の歯がでている)
上の前歯や上あごが前方に出ている状態です。上顎骨の過成長、下顎骨の劣成長といった骨格に問題がある場合と、歯の位置と傾きだけに問題がある場合があります。指しゃぶりが長く続いたことや、習慣性の口呼吸が原因となることがあります。

下顎前突(下の歯がでている)
前歯のかみ合わせが逆転している状態です。上顎骨の劣成長、下顎骨の過成長といった骨格に問題がある場合と、顎の位置と大きさは問題なく歯の位置と傾きが原因となる場合があります。遺伝的要因も大きいと考えられています。

上下顎前突(口が閉じにくい)
上下の前歯の傾きが前へ傾いている状態です。舌が内側から前歯を外に押す力が強く、口腔周囲筋(口輪筋など)の筋力が弱い場合、前歯が前へ傾く要因となります。矯正治療で、スペースが足りないのに無理やり歯を抜かずに並べた結果、前歯が前に傾いてしまうことがあります。

過蓋咬合(咬み合わせが深い)
前歯の咬みこみが深く、下の前歯がほとんど見えない状態です。下顎の成長不足や臼歯の高さが低いことなどが原因となります。上顎前突と併発して起こることがあります。

開咬(前歯でかみ切れない)
奥歯で咬んだときに前歯が咬んでおらず、前歯で物が噛み切れない状態です。指しゃぶりなどの習癖や舌の位置異常(低位舌)が原因となることがあります。


